変大佐の備忘録

「こころのなか」

【読書感想文モドキ】青春の終わり【変態王子と笑わない猫。】

 青春とはそれを自覚した瞬間に終わりを迎えるものである――変大佐(高校一年生)

 いや、そんなこと周囲に触れ回ってキャッキャ言わしてるのが青春なんやぞ――変大佐(大学三年生)

 ぼくの青春が終わりました。
 といっても、別に失恋したとかそういうのではなく――ひとつのラノベシリーズが完結した、というだけの話。
 創作物には力があります。経験則として。
 たとえば、「ハルヒ」や、「タオルケットをもう一度シリーズ」などはぼくのオタクとしての第二の生に大きな影響を与えましたし、「田中ロミオ作品」はぼくの思想信条そのものを変えてしまったりしました。では、この「変猫」はどうだったのかというと――ぼくの青春に寄り添ってきたという、ただそれだけのラノベです。

 少しばかり、昔の話をしましょうか。その作品と出会ったのは、2013年の5月くらい――ぼくが高校一年生のときでした。
 今も覚えています。初めて深夜アニメを見るために一旦寝てからもう一回起きてきて、家族が寝静まった部屋でTVをつける。「いつものメンツ」で固まったLINEグループでは軽口が飛び交っていて、TVでは普段お目にかかれない若者向けのサブカルCMが流れている。新鮮な気分でした。これから始まるのが変態ハレンチラブコメだとはつゆ知らず。
 今まで耳にしたことのない甘ったるい萌え声(あとから確認したら田村ゆかり氏だった)。めちゃくちゃ軽率に弾け飛ぶ衣服。いつのまにか淫靡なイベントが起こりまくっている訳の分からない筋書き。寝ている家族を気にしながら唖然とする深夜二時のぼく。「あまりにも刺激が強すぎた」と、後日そのメンツに報告していたことを記憶しています。
 そもそもの発端は長門有希でした。またあの女か。オタク友達というものに初めて巡り会ったぼくは、とりあえず今の推しキャラに似た属性のヒロインがいるアニメから攻めるべしという助言をもらったのです。それがちょうどその時期に放送していた変猫だった……というお話。
 それからのぼくは悩みました。たしかに月子ちゃんはベリーきゅーとだった。しかしながら、毎晩あんなものを見せられては甘ったるすぎて胃もたれを起こしてしまう……。
 悩みに悩んだぼくは、とりあえずふらっと立ち寄った中古書店で原作ラノベを読んでみることにしたのです。これが意外とイケる。文章を読んで頭の中に映像を展開する方が、直接映像を送り込まれるより自分のペースで楽しめると気づいたのです。このときから、コンテンツを貪るときはまず文字媒体から、という習慣が定着し始めました。
 はじめて西のアキバ、大阪日本橋に「いつものメンツ」と向かったときも、多少ビビりながら変猫の原作ラノベをまとめ買いしました。ついてくる「オマケ」にも少し驚きながら。
 ↓まだ残ってますね。

 まあ、その文庫本の変猫ラノベは片思いの人に全部プレゼントしてしまうという話が別にあったりするのですが、その話は非常に長くなるのでまたあとに書きますね。
 とにもかくにも、そんな思い出深いラノベシリーズが完結してしまったことに、一抹の喪失感を覚えるのです。あの頃から時は経ち、ぼくはいっちょまえにものごとについて深く考えたりそれを文章化したりできるようになりました。でも、手に取ったものすべてが目新しく、それをすぐさまに共有して目を輝かせていたあの頃に、ぼくは何かを置き忘れていったような気もするのです。

 って、読書感想文にするつもりがただの思い出話になってしまった。変猫という物語については、また一巻から読み返してから書きたいと思います。それでは。